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<6/2016>
6月6日 (月), 13:30-      
仲井良太(東北大学AIMR)
「熱ホール効果の重力場による記述」


量子ホール系や2次元カイラルp波超伝導体などの時間反転対称性の破れたフェルミオンの2次元トポロジカル相においては、熱伝導度テンソルの横応答成分である熱ホール伝導度がチャーン数によって量子化する。熱応答現象はラッティンジャーが導入した擬似的な置き換えによって重力応答に等しいことから、この熱ホール効果の重力的な側面について研究がすすめられている。
まずはじめに、熱ホール効果に対応する重力場の有効理論の導出についての研究[1]を紹介する。これは長らく熱ホール効果の有効理論として考えられていた重チャーンサイモンズ作用が熱ホール効果を記述できないことが分かったことを受けて、そのかわりとなる有効場の理論を微視的なフェルミオン模型から導出した研究である。これまでの有効場の導出方法とは異なり、端状態の自由度に着目することで、バルクの熱ホール効果を間接的に記述できる重力場の有効理論が導出できることを示した。
続いて、ラフリンによる量子ホール効果の議論を熱ホール効果の場合に拡張した最近の研究結果[2]についても紹介する。

[1] R. Nakai, S. Ryu, and K. Nomura, New J. Phys. 18, 023038 (2016).
[2] R. Nakai, K. Nomura, and S. Ryu, (in preparation).