超伝導現象とは、物質において電気抵抗がゼロになってエネルギー損失なく電流が流れ続ける物理現象です。 超伝導現象が発見されて、早や100年以上経ちましたが、過去20~30年の間に、 従来の超伝導理論では理解できない新物質での超伝導体が次々に発見され、 これらは"unconventional superconductors"(非従来型超伝導体)と呼ばれるようになりました。
超伝導は2つの電子が組(ペア)を組み、この電子対が量子凝縮して起こります。 それゆえ、2つの電子を、お互いのクーロン斥力に打ち勝って結びつける力が必要です。 通常の超伝導体では、結晶格子の振動が引力を生み出していて、クーロン斥力がそれほどでは超伝導は起こりにくくなります。 ところが、"非従来型超伝導体"では、むしろクーロン斥力が強いものほど、超伝導が起こる転移温度が高いという逆説的な現象が起こっています。
